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心理学者&ハーバード大学の教授、レベッカ・ローランド氏「私たちは子供たちを機械的に行動する人々に変えてしまっている」

(El Pais 参考ページ、翻訳by ENVITA編集部)




彼女の著書『子どもとの会話術』(Art of Talking to Chidren; 2022)は、日常会話を、創造性を促し家族の絆を強めるおしゃべりに変えるためのキーポイントを提供するガイドです。



お母さんとこども

ミヒャエル・エンデの作品である「モモ」というキャラクターには『聴く』という生まれつきの能力がありました。話好きな小さな少女のところに、小さな円形劇場のあちこちから人が集まってきました。灰色の男たちが、そんな人々の会話の時間を奪うためにやってくるまでは。


アメリカの心理学者で作家、ハーバード大学の教育学の教授であるレベッカ・ローランド(43歳)は、今日、特に子どもたちに対して似たような状況が起こっていると述べています。


「私たちは表面的な物事についての話をすることはありますが、全意識を集中し『聴く』という深い会話にはあまり時間を費やしていないのです。」と彼女はEL PAÍSに語りました。


ローランドは、ボストン・チルドレンズ・ホスピタルの神経学部門で口頭および書面の言語の専門家でもあり、最近「子どもとの会話術(Art of Talking to Chidren)」(HarperOne、2022年)を出版しました。この本の中で、著者は日常の小さな会話を活用し、時間を奪うもの(たとえば、テクノロジーの乱用)を取り除くことで、これらの会話が学習や創造性の発展の素晴らしい機会となり、子どもたちとの絆を強化することができると主張しています。



Q:なぜ子どもとの会話のためのマニュアルが必要だと考えていますか?


A:私たちは皆、自分の子どもや、結果的には社会のためにためになることをしたいと思っています。私たちはそのために一生懸命頑張っているんです。子どもたちを習い事などの様々な活動に連れて行き、宿題を手伝い、学校で彼らが開催するイベントに参加します。しかし、彼らの発達にとって最も重要な要素である、日々の会話には注意を払っていません。


これらの会話はしばしば、単なる事務的な内容になっています。私たちはどの場所からどの場所に移動するか、スケジュールはどうなっているか、そして一般的には日々の生活をどのように乗り越えるかに焦点が当てられています。これに関する研究は非常に多くあり、もし私たちがこれらの日常の会話を、学びや子どもたちの創造性の発展のための機会に変えることができれば、これらの会話はより効果的に私たちの生活を改善することができると言われています。私はこのマニュアルが親がそれを実現するのに役立つことを願っています。



Q. 我々は、子ども時代からどれだけ『切り離されて』いるのでしょうか?


A. 私たちは常に仕事で忙しく、子どもの成果やパフォーマンスに重きを置いていますが、『子どもであるという経験自体の価値』を忘れがちです。子どもであるということがどういうことか?という概念から遠ざかりすぎていることがあります。それはただ心を空っぽにして歩き回ったり、目に入るものをただ見つめることかもしれません。子どもたちと話すことは素晴らしいことで、それだけに私たちには明るい未来があると思っています。


彼らは自然な遊び心と驚きの感覚を持っており、大人である私たちとは非常に異なった視点から世界を見ています。でも、私たちはそれを忘れてしまっています。なぜなら私たちは世界についてたくさんのことを学んできたからです。例えば、子どもたちは「なぜ私たちはどんどん若くならないのか?」「もし私たちが火星に住んだらどうなるのか?」といったことに疑問を持ちます。


私たちはこのような重要な質問をすることを忘れがちであり、子どもたちともっと時間を過ごし、彼らと話すことで、彼らを助けるだけでなく、驚きの能力を再び目覚めさせることができます。




たくさんの時計


Q. ミヒャエル・エンデの「モモ」という本が発売されてからたった50年ですが、今読むと、今日私たちが経験している多くのことを予言しているように思われます... 今日、私たちの時間を奪っている灰色の男たちは誰だと言えるでしょうか?



A. 子どもたちの時間を奪うものはたくさんあります。それは部活動などでスケジュールがぱんぱんに埋まっていることも一因です。私たちは彼らと話す代わりに、経験を詰め込み、彼らに反省する時間を与えません。私たちは彼らを機械的に行動する人々に変えてしまい、彼らは創造的な人々ではなく、自分の興味に従って行動しなくなってしまいます。もう一つ非常に明確な要素は、ソーシャルメディアやインターネットを非常に重視している子どもたちがいることです。


もちろん、テクノロジーは良いことのために活用はできますが、彼らがインターネットでの検索や、完璧な写真を次々見ることに集中しすぎると、自分がそれにどれだけの時間を費やしているかに気づかなくなります。例えば、私は子どもがソーシャルメディアを通じてしかコミュニケーションをしていなかった、というケースを知っています。私たちは彼らの子どもとしての実体験を失わせて、彼らの人生を『いいね』だけに集中させることを許してはいけないのです。



Q. あたなは本の中で、『子どもたちが早く成長することを望む社会』について強調されています。これは、私たちの生き方が原因だと思いますか?


A. 現在、私たちは確かに、パフォーマンスと効率に非常に焦点を当てた文化で生活しており、それが最も彼らのためになると思って、子どもたちが完璧な枠組みに収まることを望んでいます。他の人よりも遅れをとることを心配していますが、私たちは子どもの発達が時間をかけて行われることを理解しなければなりません。子どもたちは、遊びや発見の中からより多くの利益を得ます。私たちがたくさんのことを教えるのではなく、自分自身で物事を発見できるようにするべきです。本人の準備ができていない時は特に、です。私たちは初めから多くのプレッシャーをかけすぎると、彼らは準備ができていないことに不安を感じる傾向があります。また、私たちが感じるストレスも彼らに伝わります。彼らの自然なリズムをリセットして尊重することが重要です。



Q. 本の中では、子どもたちに心を込めて話すことを提案されていますね。そのような会話は子どもの発達にどのように役立ちますか?


A. これは非常に重要です。これは子どもたちの認識や言語の発達にとって重要な要素です。子どもたちは私たちが話すことを聞いて学びます。また、会話を通じて彼らの感情や考えを表現する方法を学びます。深い会話は子どもの思考を刺激し、彼らが問題解決能力や創造性を発揮するための基盤を築きます。また、彼らが話をすることで自己肯定感や自己表現の能力を高めることもできます。親や大人が彼らの話に耳を傾け、真剣に受け止めることで、彼らは自分自身を尊重し、自信を持つことができます。




たくさんの本


Q. 私たちの会話をどのように変えればいいでしょうか?どのようなことをおすすめされますか?


A. 私の提案は、好奇心を持って読書を始めることです。子どもと一緒に、1日に数回、5〜10分間行うことができたら良いですね。年齢に関係なく、彼らの隣に座り、彼らを観察します。そうすることで、彼らが好きなことや興味のあること、興味を持たないことを知ることができます。たとえば、幼児なら小石で遊んでいるかもしれないし、ティーンエイジャーであればビデオゲームをしているかもしれません。彼らのそばに座って、彼らが考えていることや好きなこと、魅了されることを見つけましょう。そして、その興味に関する質問を彼らに投げかけます。



Q. 私たちは『聴く』をちゃんとできていると思いますか?

A. 私は『しっかり聴けること』は最も重要な課題の一つだと考えています。私たちは注意深く聞いたり、思慮深く聞いたりできていないこともよくあります。子どもたちにも十分に注意深く聞くことや効果的に聞くことを教えていないことがよくあります。時には、私たちは自分が聞いていると思っているけれども、実際には心は別の場所にいることもあります。子どもたちに聞くことを教えれば、彼らは友達や私たち、そして教師にもっとよく耳を傾けることができるでしょう。これによって、より広範なコミュニケーションの文化を創り出すことができます。



Q.話を聴いてくれていない人の注意を引くことができるテクニックはありますか?

A. はい。まず、ユーモアを使うことです。もしも、誰かが私の話に耳を傾けていないと思ったら、会話とは関係のないばかげたことを言って、彼らが私がばかげたことを言ったことに気づくまでの時間を計ってみることができます。たとえば、宿題の話をしている最中に突然象の話を始めるなど、子どもが同じ話題について話していないことに気づくまでの時間を計ってみてください。


もう一つのアイデアは、相手に他の人が言っていたこと、または相手が思っていることを繰り返して言ってもらうように頼むことです。「本当に聞いていたなら、聞いたことを教えてごらん。」というふうに質問をします。私たちはあまりこれをしないんです。子どもたちに『聞くための質問』をすることを教えていません。私はこのような質問をすることを子どもたちに教え、それを自分がやってみせることが、彼らに『聞くこと』を教える素晴らしい方法だと思います。


 

編集後記


コーチングの中では『聴く:話す』の割合は『7:3』が理想的と言われています。それほど、相手の話を集中して『聴くこと』は、相手に安心感を与え、大切にされているという印象を与えることができます。


子どもとの会話では特に、相手の話す内容が自分の関心のないゲームや漫画の話だったり、毎回同じオチだったりして、「あ〜、はいはい。」というような上の空の会話や、携帯電話を見ながらの会話もしてしまいがちです。


でも、大人がコミュニケーションの方法を学んで、それを実際にやってみせることで、子ども自身がそのコミュニケーションから受け取ることは多大にあります。


「どういった声かけや言葉使いをすれば良いのか?」を知るだけではなく、「どのような気持ちで関わるのか?」は子どもには無意識にでも伝わるものです。 子どもの可能性を伸ばしたい、と思ったら、逆に少しからでも『相手の可能性を奪う会話とはどんな会話なのか』を意識していくことが大切です。


子どもの可能性を伸ばす会話のスキルを学んでみたいと思った方は こちらの講座も見てみてください。



ENVITA編集部

 

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