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日本人の幸福感が低いのは遺伝子のせい?

Updated: Aug 22, 2023


 

”神経伝達物質の一種であるセロトニンは、不安や緊張に影響を及ぼすことが知られており、その影響が遺伝子によっても異なる可能性があるかもしれない”と、東日本国際大学教授で脳科学者の中野信子氏は言います。



DNA


人体内では、セロトニンの大部分が腸内に存在し、一部は血液中に存在します。脳に到達するセロトニンはごく僅かで、脳には血液脳関門というバリアが存在しています。このバリアを通じてセロトニンが脳に影響を及ぼすことは難しく、セロトニントランスポーターと呼ばれるタンパク質がセロトニンの再取り込みを担っています。



1996年に行われた実験では、セロトニントランスポーターの遺伝子によるバリエーションが、個人の不安や緊張に関連していることが示されました。セロトニントランスポーターの数は遺伝子Lと遺伝子Sの組み合わせによって決まり、Sを2つもつ人々は不安や焦燥感を感じやすい傾向があります。逆に、Lを2つもつ人々は楽観的で緊張しにくいタイプとされています。日本人の中でSS型が多いことは、遺伝子の影響が幸福度に影響を及ぼす可能性を示唆しています。



具体的には、日本人の中でSS型の割合が65%以上である一方、LL型は3%程度です。これに対してアメリカ人の中ではLL型が32%も存在し、SS型は18%となっています。



この違いは、遺伝子の影響が幸福度に与える可能性を示唆しており、遺伝子と環境の相互作用が個人の心理的な特性に影響を及ぼすことを考える上で興味深い示唆となります。



特に日本は、先進国中でも『幸福度』の低い国としてもランキングしています。毎年3月20日は国際連合が定めた国際幸福デー(International Day of Happiness)であり、「世界幸福度報告」(World Happiness Report、以下「報告」)が刊行され、各国の幸福度がランキング形式で公表されます。日本は2023年度の調査で137か国中47位であり、昨年の54位より上昇したものの、GDPで世界3位の経済大国としては低い順位に見えます。G7の中では6番目のイタリアが33位であり、日本は最下位となっています。



ランキングは『主観的』な判断で点数がつけられるため、本来経済的にも社会的補償も充実しており、他国から見て『幸せ』に見える日本であっても、そこに住み暮らしている人々が「幸せでない」と感じていれば、自然とランキングは低くなります。



元々、物事を悲観的に考えてしまいがちな遺伝子を持っている人の多い日本は、「コップの中の水がまだ半分ある」というより、「もう半分しかない」という考え方をしてしまう人も、多いのかもしれません。



なぜ日本にSS型の人が多いのか?を説明する可能性として、日本が災害の多い国であることも挙げられます。日本は世界の災害被害総額の20%を占めるなど、災害に見舞われる頻度が高い国です。この状況下では、楽観的すぎる性格は生き残りにくいことがあり、遺伝子の影響が幸福度にも影響を及ぼしている可能性が考えられます。



つまり、遺伝子の影響が個人の不安や幸福度に一定の影響を及ぼすことが考えられますが、これは環境との相互作用も考慮すべき重要な要素であるため、幸福度は環境や文化要因か?それとも遺伝子の要因か?を特定することは困難であると考えられます。遺伝子と環境が複雑に絡み合って、個人の心理的な特性や幸福度が形成されることを理解することが、より包括的な視点での研究の重要性を示しています。



happiness


まとめ


遺伝子とセロトニンの関連が幸福度に影響する可能性を探ると、S型遺伝子は不安や焦燥感を、L型遺伝子は楽観性を示唆。日本における災害の多さが、楽観性の遺伝子を減少させた可能性も示唆されるが定かではない。日本人のSS型65%に対し、LL型は3%で、アメリカ人は32%対18%に比べると、格段にSS型を保有する率が高い。遺伝子と環境が複雑に絡むことを考慮し、幸福度の形成は多面的と言えるが、この違いは大きな影響を与えているかもしれない。

 

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