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知っていますか?ストレスのメカニズム

Updated: Apr 13, 2023

私たちは、毎日をたくさんの刺激の中で過ごし、慢性的なストレス状態にさらされています。でも、『ストレス』とは一体なんなのでしょうか?ストレス反応を生理学や脳科学の視点で見ることによって、日常生活で感じているストレスへの対処法や、どんな対処法が効果があるのか?などが分かるかもしれません。




ストレスの原因と影響について

Fight or Flight (闘争か?逃走か?)


ウォルター・ブラッドフォード・キャノン(1871-1945)は、アメリカの生理学者であり、ハーバード医学校の生理学部門の教授および部門長でした。


キャノンは1915年に始めてFight or Flight 反応について提唱しましたが、そのコンセプトは、恐怖、闘争または逃走反応、ストレス反応、過剰興奮、急性ストレス反応としても知られています。現在は、Fight(闘争) or Flight(逃走) 反応の他にストレスに対する他の2つの反応、fawn(媚びへつらう)反応とfreeze(フリーズする)反応も認識されるようになっています。


戦うか?それとも逃げるか?という Fight or Flight 反応が何であるか、どのように機能し、それに対してどのように対処していくかを理解することは、自分自身の感情がどんなふうに機能しているのかを知るのにも役立ちます。Fight or Flight 反応がどんな物か分かると、いかなる地位のどんな人物でも、Fight or Flight 反応の状態にある限りは、セラピーや治療が全く効果がないことがわかるはずです。現代人のほとんどがFight or Flight 反応の状態で1日の大半の時間を過ごしていることを考えると、このテーマがどれだけ重要であるかがわかると思います。


だからこそ、身体的、心理的、感情的な病気の原因を理解し、健康を手に入れるためにはFight or Flight 反応について理解しておく必要があるのです。




人間(または動物)がリラックスした状態にあるとき、体はリラックス状態またはホメオスタシス(恒常性)としてバランスの取れた状態で機能しています。ですが、脳が危険を察知すると、脳の皮質から視床下部を介して脳幹にメッセージが送信されます。

この神経伝達に対して起こる生理学的反応は、人間の脳が、目の前で起こっている状況に対して冷静に判断する前にすでに起凝っているのです。


つまり、人体に脅威があると脳が認識した場合、危険のレベルや脅威の内容が何であるかを正確に認識する前に、意識をより覚醒し、警戒し注意深くなるように促し、Fight or Flight 反応を起こすということなのです。脳は、私たちを危険から守るために最速で反応をするため、思考として本人が認識する前に体の反応を引き起こしています。



抜粋:https://imok-academy.com/diencephalon-thalamus-and-sensory-relay/

視床下部は脳の一部で、脳の基底部、垂体の近くにあり、ホルモンの放出や体温の調節を含む多くの重要な機能を担当しています。この視床下部の指令によって、アドレナリン(およびノルエピネフリン)というホルモンが副腎から放出されることによって、直接的および間接的にストレス反応が引き起こされるのです。これらのホルモンが体内に放出されると、感知された脅威から逃げたり、戦ったりすることができるように、いつでも筋肉が瞬時に動けるための反応を促します。


それにより、ストレスを感じた体には次のような反応が起こります。


•心拍数が上がる

•呼吸が速くなり、浅くなる

•胃および上部腸管の動き(消化)が停止する

•体の括約筋全体に対する影響(開いたり閉じたりする)

•体の多くの部分で血管が収縮する

•筋肉活動のための栄養素が解放される

•筋肉に血流が増えるように血管が拡張する(血液とブドウ糖が筋肉に流れ込む)

•涙腺(涙や唾液の生成を担当する)の抑制

•瞳孔の拡張

•膀胱の弛緩(および時には大腸の排泄)

•性的機能が停止する

•瞬時反射が加速する

•血圧が上昇する

•副腎分泌物が血流に流れ込む



つまり、数秒で、体の全エネルギーポテンシャルがサバイバルモードに突入し、生命依存や瞬発力以外の体の機能は、感知された脅威に対処するために機能を落としたり停止させたりするのです。


目の前に危険が迫っているのに、お腹が空いたり、周りのメスのことが気になったりしていては逃げ遅れてしまいますもんね!



ストレス反応でよく出される典型的な例は、草食動物のシマウマです。

シマウマがライオンに襲われると、ストレス反応が活性化されます。逃げるためには激しい筋肉運動が必要で、全身のシステムがそれをサポートします。交感神経系が活性化されることによって、それが実現するのです。



でも、人間のストレス反応もこれと同じなのです。違うことといえば、実際に目の前にライオンが現れたり、肉食獣に追われるような命の危険は普通は身の回りにはないというところですが、この脳の機能は人間がサーベルタイガーと戦っていた頃と変わらずに、日常の様々な”危険”から身を守るために絶えず働いているのです。例えば、上司から怒られる、仕事の締め切りに追われる、パートナーと喧嘩するなどは、命の危険がないにもかかわらず、ストレス反応として体に起こる生理反応はタイガーを目の前にした時と変わらないのです。



現代社会に起こる戦闘反応は、怒りっぽさ、議論好きや好戦的な態度として表面化するかもしれませんし、逃走反応は社交的な引きこもり、薬物やアルコールの乱用、さらにはビデオゲームやインターネットに没頭しての現実逃避などの形で現れることもあります。Fight or Flight反応は、脳によって”危険”が認知されたときに引き起こされ、短時間に済む場合もあれば、長期にわたって「スイッチオン」されたままで、数年にわたって持続することもあります。人々が持続的なストレスにさらされたり、危険な状況に繰り返し陥ったりすると、常にFight or Flight 反応に陥った体の状態が継続してしまうのです。



こうやって、忙しい現代に生きる私たちは、常にストレスにさらされている状態が続くため、副腎機能の過剰な興奮、アドレナリンの大量放出を続けてしまい、『アドレナルファティーグ症候群』つまり『バーンアウト』と呼ばれるような息切れ状態になってしまう人も多いのです。



通常のストレス反応においては、知覚される脅威がなくなった場合(つまり捕食者が追い払われたような場合)体は恒常性を保った状態に戻るように設計されています。しかし、現代のような慢性的ストレスにさらされた人たちは、長期間Fight or Flight反応が継続し、私たちの体に重大なダメージを引き起こします。 ストレス反応は、心理的または感情的障害の結果として、場合によってはPTSD障害(過去のトラウマを思い出すとストレス反応が現れる)やパニック障害(身体的感覚の混乱によってストレス反応が活性化される)の結果としても起こります。 人間におけるストレス反応の不適切で長期間の活性化は、長期的な生理的および心理的な損傷を引き起こしてしまうのです。



長期間のストレス反応によって引き起こされる問題の一部は次のとおりです。


•アルコールおよび薬物依存症

•拒食症。 •不安およびパニック障害

•喘息、アレルギー、皮膚疾患。

•がん。 •慢性疲労症候群。

•慢性疼痛。

•便秘、大腸炎、過敏性腸症候群。

•免疫システムの低下、風邪や感染症の発生率の増加。

•うつ病および自殺。

•糖尿病。

•性的興奮を維持するのが難しい、性欲の低下。

•排尿障害、膀胱感染症、膀胱疾患。

•勃起不全。

•筋緊張、腰痛、頸部痛。

•睡眠障害。

•脳卒中。

•潰瘍および消化器障害。




最初に戦闘または逃走のアイデアを提唱したキャノンは、さまざまな動物でこれらの反応を証明する十分な証拠を提供しましたが、実はその後、彼の反応の理論があまりにも単純化されていることも明らかになってきました。


動物は脅威に対して多様な複雑な反応を示します。たとえば、ネズミは脅威を感じると逃げようとしますが、追い詰められると戦います。いくつかの動物は、捕食者に見つからないようにその場でじっとして捕食者をやり過ごします。触れられたときに死んだふりをする動物もいます。他の動物は、自己保護のために闘争と闘争以外の様々な方法を持っているのです。


一部の魚には、素早く色を変えて自分自身をカモフラージュするものもいます。これらの反応は交感神経系によって引き起こされていますが、戦うか逃げるかのモデルに合わせるためには『逃げる』という考え方を広く定義した上で、物理的な逃避または感覚的な逃避によって捕獲から逃れるという意味を含める必要が出てきました。つまり『逃げる』ということは、別の場所に消えること、またはその場で『消える』ことを意味する場合があります。そして、しばしば与えられた状況で戦いと逃げの両方が組み合わされるのです。



人々が継続的なストレスにさらされているときや、現実的に逃げたり戦ったりすることができない場合、身体に起こる反応は凍結 (freeze) 反応またはへつらい (Fawn)反応に現れることがあります。



人間でも、例えば道を歩いているときに車がすごいスピードで走ってきたら、本能的に走って逃げる方を選択するかもしれませんが、お化け屋敷に行って突然脅かされると、恐怖で足がすくんでしまう人もいるかもしれません。怒りっぽくて怖い上司と一緒に仕事をしなければなならない時も、その場から完全に逃げてしまうことや上司を攻撃することは無理なので、おべっかを使ってなんとかストレスを少なくして上手くやり過ごすような方法をとるかもしれません。



へつらい反応には、ストレスの状況から話し合いで解決しようとすることも含まれます。戦う、逃げる、フリーズするのではなく、状況を理性的に分析しストレスからうまく逃れるための行動を選択するのです。



これには、加害者をおだてたり、服従すること、好意を求めたり、代替案を提供することなど、自分自身を最悪の現状から救うためにできる方法をとることも含んでいるので、その場のストレスを軽減はするかもしれませんが、必ずしも問題を解決する最善の方法とは限りません。Freeze-Fawnは、虐待の生存者や、自分自身を逃れられない家庭内暴力や職場のいじめの状況に直面している多くの人々にとって、典型的な反応なのです。



また、男性と女性は、ストレスの状況に異なる対処法をとる傾向があります。男性は緊急時に攻撃的な対応(戦闘)をとる傾向があり、女性は逃走するか、他の人々の助けを求める傾向があります(逃走)。女性は状況を和らげようとしたり、加害者と友好的になったりしようとする傾向があります(へつらい)。男性は感情的に引きこもってしまう傾向があります(フリーズ)



今日でも、Fight or Flight 反応は私たちの生理学的な反応の一部であり、電子メールに対する怒り、予期しない請求が届くこと、同僚との議論、交通渋滞に巻き込まれること、仕事の締め切りなどによって、常にFight or Flight 反応が引き起きています。私たちは過去のネガティブな経験や体験をイメージすることや、将来起こる可能性のあることについて不安に思ったりするだけで、Fight or Flight反応に陥ることさえあります。



今日私たちが遭遇する多大なストレスが、私たちのFight or Flight 反応を活性化させることは明らかなのですが、私たちは適切にそれに対処することを学んできていません。私たちは、リラックス反応を意図的に起こすことでストレスを軽減し、体が正常に機能する状態に戻すことを知っておく必要があります。





 

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